
2010年08月28日
竹紙づくり
笠島のアルテの周囲は、終日風がふきわたり、とても心地よいこの頃です。
特に東小路は、風が吹き抜けています。猫も涼しいのか、寝転んでまどろんでいます。
*サポーターとして参加していた佐藤佳紀君が
自動車免許を取得するため、卒業制作のため、25日本島を離れました。
再び島を訪ねてくるのは、展覧会開始の10月10日ごろでしょう。
毎朝早朝、畑づくりの開墾作業、紙づくりの下準備など 裏方の仕事を
もくもくとしていた姿が思い出されます。お疲れ様でした。
夏の暑い2ヶ月間、ご苦労さまでしたね。ありがとうございました。
おかげさまで、毎日次々に竹紙が生まれています。
*瀬戸内国際に人出が多いためか、「静かな島に来たかった」と
本島の笠島地区を訪ねてくださる方の訪問が続いています。
そして、竹紙作りをご覧になって、手伝ってくださる助っ人も
*宿舎の小崎邸の持ち主の方が、
「暑い中、作品づくりも大変でしょう。予定では9月初旬までの
賃貸契約でしたが、11月の展示が終わるまで、いろいろと滞在する
ところが必要でしょうから、そのまま使ってくださっていいですよ。
綺麗に使ってくださって、ありがとう。」と昨日ご連絡を頂きました。
作家たちも9月末まで滞在したいと話していたので、
とても喜んでいます。島の人々も立ち寄っては、いろいろ手伝ってくださいます。
夏野菜や魚介類の差し入れも続いています。
本当にありがたいです。いい作品展開で恩返しします。
作家たちも数年かけて育てて行く作品展開を図っています。
親しくなって島のお年よりも、こういった関りを喜んでくださいます。
特に東小路は、風が吹き抜けています。猫も涼しいのか、寝転んでまどろんでいます。
*サポーターとして参加していた佐藤佳紀君が
自動車免許を取得するため、卒業制作のため、25日本島を離れました。
再び島を訪ねてくるのは、展覧会開始の10月10日ごろでしょう。
毎朝早朝、畑づくりの開墾作業、紙づくりの下準備など 裏方の仕事を
もくもくとしていた姿が思い出されます。お疲れ様でした。
夏の暑い2ヶ月間、ご苦労さまでしたね。ありがとうございました。
おかげさまで、毎日次々に竹紙が生まれています。
*瀬戸内国際に人出が多いためか、「静かな島に来たかった」と
本島の笠島地区を訪ねてくださる方の訪問が続いています。
そして、竹紙作りをご覧になって、手伝ってくださる助っ人も
*宿舎の小崎邸の持ち主の方が、
「暑い中、作品づくりも大変でしょう。予定では9月初旬までの
賃貸契約でしたが、11月の展示が終わるまで、いろいろと滞在する
ところが必要でしょうから、そのまま使ってくださっていいですよ。
綺麗に使ってくださって、ありがとう。」と昨日ご連絡を頂きました。
作家たちも9月末まで滞在したいと話していたので、
とても喜んでいます。島の人々も立ち寄っては、いろいろ手伝ってくださいます。
夏野菜や魚介類の差し入れも続いています。
本当にありがたいです。いい作品展開で恩返しします。
作家たちも数年かけて育てて行く作品展開を図っています。
親しくなって島のお年よりも、こういった関りを喜んでくださいます。
2010年08月21日
2010年08月20日
制作スタッフの募集
笠島のレジデンシーに滞在中の山田 健二です。作品の制作サポートスタッフを募集しています。伝統建築・建築・ランドスケープ・作庭などに興味のある方、奮ってご応募下さい。条件・概要以下です。よろしくお願い致します。
-------------------------------------------------------------------------------
展覧会タイトル:食とアートのプロジェクト 塩飽本島 『晴れに耕す。そしてアート 』
主催:財団法人福武学術振興財団
共催:丸亀市教育委員会
後援:丸亀市
会期:10月10日~11月28日
作品概要:本島笠島地区という香川県唯一の伝統的建築物群保存地区の邸宅の庭園化プロジェクト。家屋は倒壊も進み植物と一体化している状態でその家屋そのものを一つの樹木に見立て、庭園を敷地一体に制作する構想。今回はプラン展示を別の家屋(真木邸)の中で模型やインスタレーションを展示する。
作業内容:模型制作、インスタレーション制作
制作時期:8月25日~9月30日(可能な日程で要相談)
その他の条件:宿舎あり(大倉邸)(無料)キッチン、トイレ有り、風呂のみギャラリーで使用
食費のみ人数でシェア
交通費支給無し
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展覧会タイトル:食とアートのプロジェクト 塩飽本島 『晴れに耕す。そしてアート 』
主催:財団法人福武学術振興財団
共催:丸亀市教育委員会
後援:丸亀市
会期:10月10日~11月28日
作品概要:本島笠島地区という香川県唯一の伝統的建築物群保存地区の邸宅の庭園化プロジェクト。家屋は倒壊も進み植物と一体化している状態でその家屋そのものを一つの樹木に見立て、庭園を敷地一体に制作する構想。今回はプラン展示を別の家屋(真木邸)の中で模型やインスタレーションを展示する。
作業内容:模型制作、インスタレーション制作
制作時期:8月25日~9月30日(可能な日程で要相談)
その他の条件:宿舎あり(大倉邸)(無料)キッチン、トイレ有り、風呂のみギャラリーで使用
食費のみ人数でシェア
交通費支給無し
タグ :山田健二
2010年08月20日
地域にとって本当に必要なもの
アーティストたちの笠島滞在50日が経過した。
彼らは。只今ここに暮らす人として、地域の環境、人々と様々なものを交感している。
佐藤佳紀さんは、毎朝早朝6時くらいから、畑の開墾。
柴田智明さんは、竹紙の試作品をいくつか作り始めた。地域の人々から竹を煮るためのマキを提供されたり、
竹紙を煮る鍋やカマドを貸していただいたり。煮た竹を漉くための、オケを用意してもらったり・・・。
また、将来工房として使用できるかもしれない建物の提供を申し出ていただいたり。
日本画家である柴田君は、描き手として笠島を訪れたのだが、私は、支持体づくりから
はじめるよう要請した。7月一月彼は、悩み、模索し、逃避していた。
島の人々や、彼の友人たちが、応援し、激励し、作業を手伝ってくれ、ようやく白い紙が生まれつつある。
山田健二さんは、伝建地区という土地の成り立ち、抱える問題、克服しなければんばならない課題を
浮き彫りにするかのような作品展開を行っている。
彼らは、いつかは、ここを離れて行く人でありながら、この地域にとって、
彼らにとって、かけがえのない唯一の時を交感している。
9月、松宮硝子さんの滞在活動が始まる。男性作家たちは、9月中旬まで滞在か?
そして、成果としての展覧会は、10月10日から始まる。いくつかの建物や屋外を
会場として。協賛作家たちの活躍も期待したい。
作品発表の場として伝建というものと向き合ってもらいたいということが条件となる。
全国87ある伝建地区の多くが、高齢化という問題に直面している。
丸亀市にある塩飽本島町笠島は、香川県で唯一の重要伝統的建造物群保存地区(じゅうようでんとうてきけんぞうぶつぐんほぞんちく)である。
重要伝統的建造物群保存地区とは、市町村が条例等により決定した
「伝統的建造物群保存地区」のうち日本の文化財保護法第144条の規定に基づき、
特に価値が高いものとして国(文部科学大臣)が選定したものを指す地域だ。
文化財保護法で言う「伝統的建造物群」とは、
城下町・宿場町・門前町・寺内町・港町・農村・漁村などの周囲の環境と
一体をなして歴史的風致を形成している伝統的建造物群を指す。
この制度は、文化財としての建造物を「点」(単体)ではなく「面」(群)で保存しようとするもので、
保存地区内では社寺・民家・蔵などの建築物はむろん、
門・土塀・石垣・水路・墓などの「工作物」、庭園・生垣・樹木などの
「環境物件」を特定し保存措置を図ることとされている。
注目すべきは、重伝建に選定される伝統的建造物群の中の道路形態は、
自動車交通に対応していないところが多い。
これはインフラ整備などによる開発から取り残されたり
元々交通の不便な島嶼や山間部にある集落で産業が衰退したことなどにより
結果的に伝統的な建造物が残ったところが多いためであるが、
重伝建選定時の伝統的建造物と都市計画決定済みの道路との関係や
観光客の増加に伴う自動車交通への対応などが課題になることが多い。
また重伝建の選定は建造物の増改築などに制約が掛かったり、
増加した観光客のマナー問題(騒音、ごみ、交通渋滞など)などによって
そこで生活する住民にとってマイナス要素となることがある。
私は、伝建地区では、観光の質がとても重要なポイントとなると感じている。
そのためには、多くの観光客を誘致して、地域の活性化を図るのではなく
今回のAIR活動のような、数名が暮らしをともにし、地域に根ざしたアクションを通して
地域の住民に改めて歴史的な環境を保存し次世代へつなごうとする意欲を喚起することに
よって、初めて地域の活性化を図ることになるのだと切に考えている。
徳島の神山町AIRは、その成果が育っていると思う。本島ではあまりにも高齢化している今
AIR活動の内容・その価値について、理解不能という反応は想定内のことであって、
これは、数年継続して初めて地域の人々にも共感を持って共有できるものだと
覚悟している。
只今、本島では島の人々の手によって「咸臨丸150周年記念事業」の計画が
すすめられている。アルテも協賛として、咸臨丸ランチなるものを開発した。
しかし、今の本島にとって、観光客誘致だけの観光振興は、本当の地域の活性化には
ならないということが、共有できていない。過去、瀬戸大橋観光ブームも一過性のもので
あったことは、記憶に新しいはずだが、方策がみつからないまま、観光振興を進める
行政側に深慮と思想の深さ、志を求めたい。
彼らは。只今ここに暮らす人として、地域の環境、人々と様々なものを交感している。
佐藤佳紀さんは、毎朝早朝6時くらいから、畑の開墾。
柴田智明さんは、竹紙の試作品をいくつか作り始めた。地域の人々から竹を煮るためのマキを提供されたり、
竹紙を煮る鍋やカマドを貸していただいたり。煮た竹を漉くための、オケを用意してもらったり・・・。
また、将来工房として使用できるかもしれない建物の提供を申し出ていただいたり。
日本画家である柴田君は、描き手として笠島を訪れたのだが、私は、支持体づくりから
はじめるよう要請した。7月一月彼は、悩み、模索し、逃避していた。
島の人々や、彼の友人たちが、応援し、激励し、作業を手伝ってくれ、ようやく白い紙が生まれつつある。
山田健二さんは、伝建地区という土地の成り立ち、抱える問題、克服しなければんばならない課題を
浮き彫りにするかのような作品展開を行っている。
彼らは、いつかは、ここを離れて行く人でありながら、この地域にとって、
彼らにとって、かけがえのない唯一の時を交感している。
9月、松宮硝子さんの滞在活動が始まる。男性作家たちは、9月中旬まで滞在か?
そして、成果としての展覧会は、10月10日から始まる。いくつかの建物や屋外を
会場として。協賛作家たちの活躍も期待したい。
作品発表の場として伝建というものと向き合ってもらいたいということが条件となる。
全国87ある伝建地区の多くが、高齢化という問題に直面している。
丸亀市にある塩飽本島町笠島は、香川県で唯一の重要伝統的建造物群保存地区(じゅうようでんとうてきけんぞうぶつぐんほぞんちく)である。
重要伝統的建造物群保存地区とは、市町村が条例等により決定した
「伝統的建造物群保存地区」のうち日本の文化財保護法第144条の規定に基づき、
特に価値が高いものとして国(文部科学大臣)が選定したものを指す地域だ。
文化財保護法で言う「伝統的建造物群」とは、
城下町・宿場町・門前町・寺内町・港町・農村・漁村などの周囲の環境と
一体をなして歴史的風致を形成している伝統的建造物群を指す。
この制度は、文化財としての建造物を「点」(単体)ではなく「面」(群)で保存しようとするもので、
保存地区内では社寺・民家・蔵などの建築物はむろん、
門・土塀・石垣・水路・墓などの「工作物」、庭園・生垣・樹木などの
「環境物件」を特定し保存措置を図ることとされている。
注目すべきは、重伝建に選定される伝統的建造物群の中の道路形態は、
自動車交通に対応していないところが多い。
これはインフラ整備などによる開発から取り残されたり
元々交通の不便な島嶼や山間部にある集落で産業が衰退したことなどにより
結果的に伝統的な建造物が残ったところが多いためであるが、
重伝建選定時の伝統的建造物と都市計画決定済みの道路との関係や
観光客の増加に伴う自動車交通への対応などが課題になることが多い。
また重伝建の選定は建造物の増改築などに制約が掛かったり、
増加した観光客のマナー問題(騒音、ごみ、交通渋滞など)などによって
そこで生活する住民にとってマイナス要素となることがある。
私は、伝建地区では、観光の質がとても重要なポイントとなると感じている。
そのためには、多くの観光客を誘致して、地域の活性化を図るのではなく
今回のAIR活動のような、数名が暮らしをともにし、地域に根ざしたアクションを通して
地域の住民に改めて歴史的な環境を保存し次世代へつなごうとする意欲を喚起することに
よって、初めて地域の活性化を図ることになるのだと切に考えている。
徳島の神山町AIRは、その成果が育っていると思う。本島ではあまりにも高齢化している今
AIR活動の内容・その価値について、理解不能という反応は想定内のことであって、
これは、数年継続して初めて地域の人々にも共感を持って共有できるものだと
覚悟している。
只今、本島では島の人々の手によって「咸臨丸150周年記念事業」の計画が
すすめられている。アルテも協賛として、咸臨丸ランチなるものを開発した。
しかし、今の本島にとって、観光客誘致だけの観光振興は、本当の地域の活性化には
ならないということが、共有できていない。過去、瀬戸大橋観光ブームも一過性のもので
あったことは、記憶に新しいはずだが、方策がみつからないまま、観光振興を進める
行政側に深慮と思想の深さ、志を求めたい。
2010年08月18日
本島の時間
マケットなど制作している.
16日に友人の建築家・遠藤幹子さんと娘の編ちゃんが来廊し、祭りや海などを満喫し帰って行った.作家、スタッフ一同盆踊りの筋肉痛と猛暑にやられてしまっている.
お盆前は皆多忙で、今日から制作前にやりのこした聞き取りの約束がたまっている.作品が色々な人々の時間や経験の中に飛び込んでゆく、そんな瞬間なのかもしれない.
16日に友人の建築家・遠藤幹子さんと娘の編ちゃんが来廊し、祭りや海などを満喫し帰って行った.作家、スタッフ一同盆踊りの筋肉痛と猛暑にやられてしまっている.
お盆前は皆多忙で、今日から制作前にやりのこした聞き取りの約束がたまっている.作品が色々な人々の時間や経験の中に飛び込んでゆく、そんな瞬間なのかもしれない.
タグ :山田健二
2010年08月13日
笠島のお盆
知己の画廊からは夏季休廊のお知らせをいただくが
笠島にあるアルテはお盆時期こそ仕事の時間
いつもはひっそりとした笠島の夜が、今夜は
あちこちの家に灯りが そして人の話し声
今日もアルテはお盆で里帰りをしたという人々の来訪でにぎわった。
竹紙づくりの柴田君の助っ人も加わり、アルテの人の出入りが
いつもと異なった人々の来訪でにぎわう。
実は自転車で帰る途中。下り坂の坂道で自転車で転倒。
左側のあちこちを負傷したため、12日まで休養していた。
まだ手は使えないので、この時期の助っ人は本当にありがたい。
東京理科大の長井君も友人と今日から本島に滞在していると
訪ねてくれた。若い人が行き交うので、笠島のお年よりは
とてもうれしそう。
いつもの本島とは違った表情の本島もなかなかいいものだ。
笠島にあるアルテはお盆時期こそ仕事の時間
いつもはひっそりとした笠島の夜が、今夜は
あちこちの家に灯りが そして人の話し声
今日もアルテはお盆で里帰りをしたという人々の来訪でにぎわった。
竹紙づくりの柴田君の助っ人も加わり、アルテの人の出入りが
いつもと異なった人々の来訪でにぎわう。
実は自転車で帰る途中。下り坂の坂道で自転車で転倒。
左側のあちこちを負傷したため、12日まで休養していた。
まだ手は使えないので、この時期の助っ人は本当にありがたい。
東京理科大の長井君も友人と今日から本島に滞在していると
訪ねてくれた。若い人が行き交うので、笠島のお年よりは
とてもうれしそう。
いつもの本島とは違った表情の本島もなかなかいいものだ。
2010年08月07日
あかねとんぼ
8月に入って、ここ本島では朝夕の風が変った。
アルテの前の東小路には、あかねトンボが飛び交っている。
日中はまだまだ日差しは厳しいのだが、秋の気配が漂っている・・
自然の中で深く暮らすと、季節の移り変わりを空気の気配で体感している。
レジデンスアーティストの一人、山田健二さんが、面白い着想で遺すことを前提に
作品化を図っている。
******『使用と地上の保存学』*********山田健二
笠島に初めてバスで降り立った時の印象を今でも忘れない。時間の突き当たりというか、
曲がり角に立ったような感覚と、町と港を隔てる道路が不思議にも大きな彼岸に見えて、
居たたまれずに妙な積極性で町に滑り込んだのだった。石畳が降り積もったような拡がり
に、細く降る様々な色と建材の残像を見るような風景は知識や写真では推し量れない印象
で、こころの底をほどいていくようだった。その奥で東北や北陸の山村に消えた茅葺き屋
根の町並みを思い、うらやむ気持ちもこみ上げてくる。
その印象と風景にわたしは深く敬服しながら町を巡り、兼ねてから思う“ 使うことの保存”
への関心と意味をその風景に沈めていった。
本島に住んで1ヶ月になろうとしている。顔なじみもできて、生活や暮らしの隣人も増
えた。今では笠島の塩飽大工である高島昭夫氏が初めてお会いした日に話していた「古い
建築を本当に保存しようと思ったら、古い生活のままでいなければならなくなる。」と言う
言葉の解釈にいろいろな表情が増してきたように思う。一つは解釈に切実さと痛みを伴っ
てきた事だろうか。古い慣習や作法、信仰と結びついた間取りや建築の造りそのものは土
地や環境からの交渉を受け止め、抗し、包み込むための器でもある。その内と外の境界は
外環境への堅固さを追求した現代建築と比べると真実でしか保てない程 繊細なものなのだ
と今では強く感じるようになっていた。
制作活動の現場や住居の為の物件が中々に見つからなかった折に、昭夫さんは簡単では
ない島を出た家主の心情をいろいろと話してくれた。「なかにはここに住んでいたと言える
何かがあればそれでいいと言う人もいる。」倒壊を待つように放置された邸宅の家主の思い
を語ったであろうその言葉は、使うことの保存学の向こうで今 変わろうとしているひとの
気持ちを痛感させるものだった。
山のすそ野に呑み込まれようとしている古い家屋の構造や、それを貫くように湧き立つ
生命を見ながら、親族達で使うということからは又違う未来の選択がそこにはあるように
も感じる。人が住まい、暮らすということから植物や他のあらゆる生命にその‘使用’ の間
口を開かれたその“ 場” は公の庭園である“ 公園” を超えて庭園のもつ本来的な、そして
未来的な在り方へと繋がる覗き穴のようにも感じられた。」
保存地区で実践される“ 使用の保存学” が転じて照らし出した新しい保存と共存のこころ
は、都市や地域社会に於ける建築と環境の共存と双方からの組織化の未来に全く新しい示
唆をもたらすものであると感じてやまない。
① 植物と重なる構造(植生)
植物にとっての建築、構造のーザビリティーや現状の植
生をリサーチし刈り込みや植林などの計画を検討する。
植物と一体のとなる家屋を樹木に見立て、敷地に庭園を作庭する。
真木邸を計画室とし各部屋にテーマ別の模型、図面、写真を空間の中に編集、表現する。
隔てられてはいるもののそれぞれに隣接した部屋の要素は編集の過程で交雑する。
② 風、暮らしと時間の通態(構造)
家屋の空間的構造と間取りの意味、現状の構造補強(?) を検討する。
③ 田中小路、山、街路と地形(フィールド)
西山や街路との関係性から敷地を隔てる壁や敷地の起伏等を設計する。
作品化の為の資金調達を、丸亀市文化課冨田さんとともに、図る。
昨日は、梅谷の*回目の誕生日。サプライズでみんながケーキととんかつで
祝ってくださった。お隣の吉田愛子さんも参加して、愛子さんはこうして
若い作家たちとの夕食がとても楽しい様子。一人で食べるよりは
大勢で食卓を囲むと楽しいよね。
お年寄りの一人暮らし。こういった形で世代を超えて場をひとつにすること
これが私がここで試みたかったひとつだと改めて思う。
耕すとは、ひとりひとりのこころを耕して行く事でもあるのだから。
アルテの前の東小路には、あかねトンボが飛び交っている。
日中はまだまだ日差しは厳しいのだが、秋の気配が漂っている・・
自然の中で深く暮らすと、季節の移り変わりを空気の気配で体感している。
レジデンスアーティストの一人、山田健二さんが、面白い着想で遺すことを前提に
作品化を図っている。
******『使用と地上の保存学』*********山田健二
笠島に初めてバスで降り立った時の印象を今でも忘れない。時間の突き当たりというか、
曲がり角に立ったような感覚と、町と港を隔てる道路が不思議にも大きな彼岸に見えて、
居たたまれずに妙な積極性で町に滑り込んだのだった。石畳が降り積もったような拡がり
に、細く降る様々な色と建材の残像を見るような風景は知識や写真では推し量れない印象
で、こころの底をほどいていくようだった。その奥で東北や北陸の山村に消えた茅葺き屋
根の町並みを思い、うらやむ気持ちもこみ上げてくる。
その印象と風景にわたしは深く敬服しながら町を巡り、兼ねてから思う“ 使うことの保存”
への関心と意味をその風景に沈めていった。
本島に住んで1ヶ月になろうとしている。顔なじみもできて、生活や暮らしの隣人も増
えた。今では笠島の塩飽大工である高島昭夫氏が初めてお会いした日に話していた「古い
建築を本当に保存しようと思ったら、古い生活のままでいなければならなくなる。」と言う
言葉の解釈にいろいろな表情が増してきたように思う。一つは解釈に切実さと痛みを伴っ
てきた事だろうか。古い慣習や作法、信仰と結びついた間取りや建築の造りそのものは土
地や環境からの交渉を受け止め、抗し、包み込むための器でもある。その内と外の境界は
外環境への堅固さを追求した現代建築と比べると真実でしか保てない程 繊細なものなのだ
と今では強く感じるようになっていた。
制作活動の現場や住居の為の物件が中々に見つからなかった折に、昭夫さんは簡単では
ない島を出た家主の心情をいろいろと話してくれた。「なかにはここに住んでいたと言える
何かがあればそれでいいと言う人もいる。」倒壊を待つように放置された邸宅の家主の思い
を語ったであろうその言葉は、使うことの保存学の向こうで今 変わろうとしているひとの
気持ちを痛感させるものだった。
山のすそ野に呑み込まれようとしている古い家屋の構造や、それを貫くように湧き立つ
生命を見ながら、親族達で使うということからは又違う未来の選択がそこにはあるように
も感じる。人が住まい、暮らすということから植物や他のあらゆる生命にその‘使用’ の間
口を開かれたその“ 場” は公の庭園である“ 公園” を超えて庭園のもつ本来的な、そして
未来的な在り方へと繋がる覗き穴のようにも感じられた。」
保存地区で実践される“ 使用の保存学” が転じて照らし出した新しい保存と共存のこころ
は、都市や地域社会に於ける建築と環境の共存と双方からの組織化の未来に全く新しい示
唆をもたらすものであると感じてやまない。
① 植物と重なる構造(植生)
植物にとっての建築、構造のーザビリティーや現状の植
生をリサーチし刈り込みや植林などの計画を検討する。
植物と一体のとなる家屋を樹木に見立て、敷地に庭園を作庭する。
真木邸を計画室とし各部屋にテーマ別の模型、図面、写真を空間の中に編集、表現する。
隔てられてはいるもののそれぞれに隣接した部屋の要素は編集の過程で交雑する。
② 風、暮らしと時間の通態(構造)
家屋の空間的構造と間取りの意味、現状の構造補強(?) を検討する。
③ 田中小路、山、街路と地形(フィールド)
西山や街路との関係性から敷地を隔てる壁や敷地の起伏等を設計する。
作品化の為の資金調達を、丸亀市文化課冨田さんとともに、図る。
昨日は、梅谷の*回目の誕生日。サプライズでみんながケーキととんかつで
祝ってくださった。お隣の吉田愛子さんも参加して、愛子さんはこうして
若い作家たちとの夕食がとても楽しい様子。一人で食べるよりは
大勢で食卓を囲むと楽しいよね。
お年寄りの一人暮らし。こういった形で世代を超えて場をひとつにすること
これが私がここで試みたかったひとつだと改めて思う。
耕すとは、ひとりひとりのこころを耕して行く事でもあるのだから。
2010年08月04日
遅々と進む計画
市役所の文化課文化財保護担当の冨田さんにギャラリーまでご足労頂き打合せをした.
図面等を見ながらプランを中心に話をした.使用することから生まれる保存学、島外移住者の家屋への思いなどを話す.
中世の家屋を保つためには中世の生活もしなければならないという意見もあるが、皆いろいろと折り合いをつけながら生活しているとのこと.
観光地化し店などが入る伝建地区もあるそうだが、そうなってはいないここ(笠島)は心地よく思える.
家主さんとの交渉をどう進めるかについて悶々としながら話を終え、庭の配置を相談されていた中西さん邸に皆で繰り出した.
図面等を見ながらプランを中心に話をした.使用することから生まれる保存学、島外移住者の家屋への思いなどを話す.
中世の家屋を保つためには中世の生活もしなければならないという意見もあるが、皆いろいろと折り合いをつけながら生活しているとのこと.
観光地化し店などが入る伝建地区もあるそうだが、そうなってはいないここ(笠島)は心地よく思える.
家主さんとの交渉をどう進めるかについて悶々としながら話を終え、庭の配置を相談されていた中西さん邸に皆で繰り出した.
タグ :山田
2010年08月03日
塩飽大工の末裔
作品の構想がまとまりつつある. 資材などの相談に元大工の高島昭夫氏を訪ねると.
'絵がないとわからんなァ'と一旦出直しに. 無性に試されている気になり即座にドローイングを仕上げる.
現場写真を印刷し束にした.
現役時代の棟梁も今は笠島地区の自治会長の勤めに忙しい. 今日はカブで皆のお宅にアンケートを配っていた.
仮住まいの小崎邸にも当然のように現れて、そのままプレゼンティションに. 伝建地区での建築的な作品は先ず市の文化課に通すのが筋とのこと. プランの模型などにも予算がつくのだそうだが、時間もあまりない.
生木などで低予算の方向なのだが、木を切れる場所の話まではできなかった.
棟梁のプランに対する反応は以外にもかなり良く. 試されていた弟子の気分もどこかへ.
'絵がないとわからんなァ'と一旦出直しに. 無性に試されている気になり即座にドローイングを仕上げる.
現場写真を印刷し束にした.
現役時代の棟梁も今は笠島地区の自治会長の勤めに忙しい. 今日はカブで皆のお宅にアンケートを配っていた.
仮住まいの小崎邸にも当然のように現れて、そのままプレゼンティションに. 伝建地区での建築的な作品は先ず市の文化課に通すのが筋とのこと. プランの模型などにも予算がつくのだそうだが、時間もあまりない.
生木などで低予算の方向なのだが、木を切れる場所の話まではできなかった.
棟梁のプランに対する反応は以外にもかなり良く. 試されていた弟子の気分もどこかへ.
タグ :山田健二
2010年08月03日
渡本島の初夏
本島のアーティスト・イン・レジデンシーに7月から滞在している 山田 健二です.
きょうまでを島での生活や交流に惜しまずに過ごした. 明日は歓迎のパーティーがある.
こんなにも人に関ることに不思議はない、土地に入るはじめのリズムや儀式や職癖なのかもしれないし、何よりも興味があった.
土地や人々の時間や作為が瘁じて、編集され作品になっているという事も多い. それを受けとるということも本当は途方もなく膨大なのだけど.
それが好きなのだろう.
(7/16の下書きより)
きょうまでを島での生活や交流に惜しまずに過ごした. 明日は歓迎のパーティーがある.
こんなにも人に関ることに不思議はない、土地に入るはじめのリズムや儀式や職癖なのかもしれないし、何よりも興味があった.
土地や人々の時間や作為が瘁じて、編集され作品になっているという事も多い. それを受けとるということも本当は途方もなく膨大なのだけど.
それが好きなのだろう.
(7/16の下書きより)
タグ :山田健二
2010年08月03日
竹紙づくり雑記
紙と筆、ペンは
現代の人間が社会に出るべく
成長する基盤。
要は読み書きです。
書いて、描いて情報を現し、
産業や歴史、芸術、文化を作ってきました。
そして古来から日本人は竹の細工に強かった・・ような気がする。
竹紙つくりに竹を擂る。ごーりごーりと。
産業革命の流れで、パルプの大量生産の紙が他をほぼ淘汰しました。
パルプ紙は見方によればブラックバスです。
創作活動は、淘汰の歴史をバックし、スイッチしてターンします。
ファシズム的に(?)淘汰され滅び去ってしまった可能性を掘り出す活動です。
要は賛成の反対です。
手で擂ってます。
だから、遅い。
クライアントも不安んな様子。
効率がよさそうな方法、
繊維をなめし棒(?)で叩いてだしなさい、
というようなメッセージが・・。
そりゃそうだ。賛成です。
その方向で動こうと思いますべ。
ところで擂り途中の紐束状の竹から
おもちゃの筆が出来ました。
明日には飽きるかもしれませんが
擂り器で擂りやすいよう、
棒状に編んで固めようと思った瞬感に
ひらめいて穂先部分だけ擂って残り部分を棒状にしました。
穂先のカタチを整えたらかなり使えそうな筆が・・・できた。
白玉面相筆のようにコシがない分、同じく白玉と同じように
よく水を含み、ながーい極細線がひけます・・
そんな気がする。明日以降、試しに使ったら実は駄目駄目だったりね。
ちなみに白玉面相筆は猫の毛から出来ています。
竹と猫を取り違えないように気をつけたいです。
柴田
現代の人間が社会に出るべく
成長する基盤。
要は読み書きです。
書いて、描いて情報を現し、
産業や歴史、芸術、文化を作ってきました。
そして古来から日本人は竹の細工に強かった・・ような気がする。
竹紙つくりに竹を擂る。ごーりごーりと。
産業革命の流れで、パルプの大量生産の紙が他をほぼ淘汰しました。
パルプ紙は見方によればブラックバスです。
創作活動は、淘汰の歴史をバックし、スイッチしてターンします。
ファシズム的に(?)淘汰され滅び去ってしまった可能性を掘り出す活動です。
要は賛成の反対です。
手で擂ってます。
だから、遅い。
クライアントも不安んな様子。
効率がよさそうな方法、
繊維をなめし棒(?)で叩いてだしなさい、
というようなメッセージが・・。
そりゃそうだ。賛成です。
その方向で動こうと思いますべ。
ところで擂り途中の紐束状の竹から
おもちゃの筆が出来ました。
明日には飽きるかもしれませんが
擂り器で擂りやすいよう、
棒状に編んで固めようと思った瞬感に
ひらめいて穂先部分だけ擂って残り部分を棒状にしました。
穂先のカタチを整えたらかなり使えそうな筆が・・・できた。
白玉面相筆のようにコシがない分、同じく白玉と同じように
よく水を含み、ながーい極細線がひけます・・
そんな気がする。明日以降、試しに使ったら実は駄目駄目だったりね。
ちなみに白玉面相筆は猫の毛から出来ています。
竹と猫を取り違えないように気をつけたいです。
柴田