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Posted by あしたさぬき.JP at

2009年08月11日

文化を活用した地域再生とは

1970 年代、欧米の多くの都市は、高齢化および少子化社会、また産業や中心市街地の空洞化

現象などの社会問題を抱えていました。現在の日本と同じです。

しかしながら1980 年代後半より、都市政策に文化政策を取り込む取り組みが始まり、既存の

歴史的・文化的遺産を再活用しつつ、現代アート・フェスティバルなどの文化的イベント

を仕掛けるなど、「伝統」と「現代」という二つの

要素を共存させ、次第に都市としての自信とダイナミズムを取り戻す施策が試みられました。

その結果1990 年代には、多くの都市が次々と再生を果たしました。

こういった事例をモデルとして、都市から創造性を引き出す

「クリエイティブ・シティ」構想
をもとに日本の各地で地域再生 都市再生の試みが

行われるようになったのです。

ここで誤ってはいけないことは、芸術・文化がもつ

創造性をまちづくりに生かしていくことが都市に活気を与え、また住民の活力を

生み出す源泉となったということです。


文化そのものが、地域振興となるのではなく、

住民の活力を引き出すということが重要なのです。


文化による地域再生の場合、人口規模によってではなく、

独自の芸術文化を育てることが出来れば、革新的な経済基盤を持てるのです。

それが「創造都市」というものです。

経営学者の野中郁次郎が『知識創造企業』から引用すると

リストラを名目にした企業の闇雲の人員削減は、長期的に見ると企業の存立を

危うくするものであると批判し、労働者の創造性を引き出す「知識経営」こそ、

今、求められるものであると主張しています。

「創造する力は単に個人の内にあるのではなく、個人と個人の関係、

個人と環境の関係、すなわち『場』から生まれる」と述べ、知識創造の

「場」を重視した企業経営論を展開しています。

この「場」とは、空間と時間とを併せ持った概念です。

創造とは単に新しい発明の連続であるだけではなく、

適切な「過去との対話」によって成されるものです。

「伝統と創造」は相互に影響し合うプロセスだということです。

芸術作品に限らず、およそ財の価値は本来、

機能性芸術性

兼ね備えたものでなければ、なりません。

消費者の生命を維持するとともに人間性を高める力を持っているものです。

このような本来の価値(固有価値)を産み出すものは

人間の自由な創造的活動、

つまり仕事work
(ラテン語でオペラ)からであり、

決して他人から強制された労働laborではないのです。

生きるための労働に止まるのではなく、本来の仕事を行おうという意識に気づくこと。

そう促せる文化活動こそが必要なのであって、ただ闇雲にアート作品であればいい

というものではありません。


地域プロジェクトに関るアーティスト、

美術関係者も大いに自らを振り向かなければならないでしょう。

そして、本来のこの価値は、これを評価することのできる

消費者の享受能力に出会ったときにはじめて有効な価値となるのです。


才能や資質をどう育てられるか。

そういう意味で、誰かが海や山の向こうからやってきて

幸がもたらされると考えてはいけません。

また、なにか面白うなcircleに参加することで、よしとすることも誤っています。

ボローニャやバーミンガムの「創造都市戦略」など欧州に見られるような「創造の場」

を創り出して都市再生を進めている場所が日本でもいくつかあります。

代表的なケースは、近代産業遺産であるレンガ造りの紡績工場跡を市民参加型の

芸術センターに再生した「金沢市民芸術村」や、伝統的な繊維産地であった

西陣の町家を若い芸術家や職人達の工房として蘇生させる「西陣町家倶楽部」の活動などです。

いずれも若い人々と地域の人々つまり人が重要です。

モノや建物で創造都市は生まれないのです。






  


Posted by ギャラリーアルテ at 13:50Comments(0)art