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2009年05月06日

憲法 第二十五条_生存権と『皇居美術館空想』

憲法 第二十五条_生存権と『皇居美術館空想』
美術家 彦坂尚嘉の『皇居美術館空想』という作品。写真は、昨年12月の琴平でのアートプロジェクトこんぴらアート・虎丸社中 琴平町公会堂の展示風景である。

皇居美術館空想と言うのは、美術から発信する、改革の具体的なプログラムです。
彦坂さんは、次のように語っています。
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皇居をリノベーションして、巨大美術館にするという空想のプロジェクトです。日本美術の超一流の至宝をすべて皇居美術館に集める。源氏物語絵巻をはじめ、絵巻を集める等々・・・。憲法に《芸術立国》を明記するとともにこの皇居美術館を建設する事で、日本が平和主義を貫くことを世界に示す事ができるのではないでしょうか。
本当に建設しようと言っているのではありません。
こういう空想作品によって、見えてくる問題にしているコンセプチュアルな作品なのです。

日本人は、明治以来の歴史を、一度断ち切る必要があります。
そのためにも、天皇に京都に帰っていただく。
そういう具体的な、政治変動を空想として突き出す以外に、
私は、日本人の心に、革命の変動を起こし得ないと思います。

(さらに彦坂さんの語りより引用)
国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
焦点は憲法第九条と言われていますが、それ以上に大切なのは、日本国の国家理念です。

《芸術立国》を日本の国家理念の中心として新・日本憲法に明記すべく、積極的にロビー活動を展開する必要があるように思います。

『皇居は東京の空虚(ボイド Void)』。
《表徴の帝国》で、ロラン・バルトは、東京の中心に、皇居という森だけの空間があることに着目して、日本文化の意味の欠如、という独自の日本論を記している。


『〈超一流〉の日本美術を日本中から集めて皇居巨大美術館の建設をしよう』。
皇居をリノベーションして、ルーブル、大英博物館、メトロポリタン美術館に匹敵する、巨大美術館にする、という提案です。外国の巨大美術館は、海外からの収奪、移築により作られていますが、「皇居美術館」には、国内の〈超一流〉の建築物、絵画、彫刻、工芸品を移動させて、収蔵・建設します。そうして、海外からの観光客が、日本の〈超一流〉芸術を一挙に見られる、また、国民も、一望のもと見ることができるようにします。


『天皇を日本の古き伝統文化の象徴へ』。
明治維新では、天皇は、京都から東京に移り、西洋化の象徴として軍服を着用し、近代化・産業社会化、富国強兵を押しすすめ、敗戦という結果を迎えました。敗戦後は、焦土化した日本を「巡幸」し、復興をうながして、日本は、世界的な工業国として繁栄を謳歌するまでになりました。しかし、ソビエト崩壊後の「ポスト冷戦時代」に、バブル経済が崩壊し、日本社会の共同体は解体。家族制度も危機にみまわれ、離婚は増え、家族間の殺人、虐待が増大し、年間3万人の自殺者、年間100万人の「ひきこもり」を生み出しています。/明治維新から始まった日本の産業化の歴史は終りました。そのことを明確にするため、天皇には京都に帰っていただく。美しい京都御所に住んで、滅びた日本伝統文化の「表徴」になっていただく。皇室の結婚は、西洋式を改め「牛車」で、海外の国賓の晩餐会は、完全なる「日本料理」でもてなす。そうしていただきたい。


『アート立国を国是とする芸術憲法を制定』。
人心一新のため改憲します。日本の国家の理念は「芸術立国」とし、これを明記。「芸術憲法」を制定します。/天皇には、古き伝統の「いにしえ」のまま生きていただく。生ける伝統として、「芸術の守護者」になっていただく。芸術の庇護者にしてパトロンです(毎年優れた作品を買い上げていただく)。/天皇の「伝統天皇」への回帰。「皇居巨大日本美術館」の建設は、外交に非常に良い影響を与えて、日本の未来を切り開くことになります。

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NHKジャパンプロジェクト 第二回天皇と憲法をご覧になっただろうか?
単純に論じてはいけないが、国体論と統帥権と憲法に焦点を当てた番組だった。
今、現代史を再考する視線が大変必要だと感じている。

美濃部達吉の天皇機関説と天皇の国体を統帥権と解釈する上杉という二人の憲法学者を対比させ、上杉説に戦争へ向かう国民の責任があると検証していた。

また日本国憲法第二十五条 生存権について
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

ところが、いまやその理念は形骸化し、日本という国の現状は、豊かさの皮膜の下には進行している貧困の問題が深刻化しています。敗戦後、社会党に入った 森戸辰男さんがドイツの憲法ワイマール憲法で謳われた生存権(健康で文化的な生活を営む権利)の規定を明文化させる経緯を、再確認しなければならないでしょう。

現在起こっていること、さらに未来を指向する場合に、常に歴史の意味を問い直す作業が個人個人に求められるのです。
そういった意味で、彦坂尚嘉の仕事に注視して行きたいと思っています。
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2009年 朝日新聞社より「皇居美術館空想」は書籍となって出版されます。
なお、彦坂尚嘉 皇居美術館関連作品は 丸亀のギャラリーアルテにてご覧いただけます。

























 



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Posted by ギャラリーアルテ at 15:46│Comments(2)art
この記事へのコメント
はじめまして。
これはおもしろいですね。
芸術憲法によって、貧困は緩和されるのだろうか?
ほかにも、疑問はありますが、凡人が発想しえない突き抜けたわくわく感がありますね。
Posted by たみ家たみ家 at 2009年05月06日 23:19
たみ家さま

早速訪れていただき、ありがとうございます。
日常に対して ずらした視点から照射することで、その輪郭を浮かび上がらせることがあります。現代アートの醍醐味のひとつでもあるでしょう。
Posted by ソフィアソフィア at 2009年05月08日 11:56
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